法定労働時間の総枠の計算方法

労働法

変形労働時間制を採用している企業では、「法定労働時間の総枠」という考え方により超過勤務手当が発生する時間を計算していると思います。

今回は、この「法定労働時間の総枠」の計算方法について、じっくり解説したいと思います。

それでは、いってみよう!

法定労働時間の総枠とは

いろは
いろは

法定労働時間の総枠」の計算方法?いきなりどうしたんですか。今回マニアックすぎませんか?

つっちー
つっちー

そのとおりだね、しかし何を計算しているのかよくわからないと感じる人もいるだろうから、ちょっと掘り下げて解説してみようと思う。

労働基準法第32条では、使用者は労働者に対し、1日につき8時間、1週間について40時間を超えて労働させることができないと定められています。(10人未満の商店などは、1週間44時間の場合もあります。)

いろは
いろは

例外は、36(サブロク)協定を結んだ場合ですよね。

つっちー
つっちー

そのとおり。しかし、それ以外でもいくつか例外があって、その一つが、変形労働時間制だ。

変形労働時間制には、「1か月単位」、「フレックスタイム」、「1年単位」、「1週間単位」とあり、変形労働時間制を採用している場合は、先ほどの1日8時間、1週間40時間以上労働者を働かせることが許されています。

つっちー
つっちー

たとえば1か月単位の変形労働時間制の採用理由として、「うちの会社は、月末が忙しいから1日9時間働いてほしいけど、月初は暇だから1日7時間でいいんだよね。」と言った働き方をさせることができる。

いろは
いろは

採用するには、就業規則の作成や労使協定の届出が必要だったりするので注意が必要ですね。

法定労働時間の総枠の計算方法

法定労働時間の総枠の計算方法について、ここからは、便宜上、「1か月単位」の変形労働時間制について、解説を進めます。(また、週法定労働時間は、40時間とします。)

いろはさんが1か月単位の変形労働時間制を採用しようとする企業のシフト表(所定労働時間)を作成中のようです。

いろは
いろは

えーと、月末が忙しいから10時間働いてもらって、月初は暇だから7時間半っと、、、所定労働時間ってどうやって決めればいいのかしら。なんか際限なく労働時間が増えていきそうな…

つっちー
つっちー

対象期間(例えば1か月単位の変形労働時間制なら1か月)を平均して1週間の労働時間が週法定労働時間を超えないように所定労働時間を定める必要があるよ。

いろは
いろは

…日本語でお願いします。

つっちー
つっちー

労働時間は、各日や各週で8時間や40時間を超えてもいいけど、対象期間(1か月)内で平均を取った場合に1週間で40時間を超えないように総時間が決められているということ。これが「法定労働時間の総枠」と言われているものだ。具体的に計算式を見てみよう。

法定労働時間の総枠 = 週法定労働時間(40時間) × 変形期間の暦日数 / 7

法定労働時間の総枠」を超えた場合は、法定労働時間を超過しているため、時間外労働手当が発生することになります。

いろは
いろは

式の意味が全く理解できません。

つっちー
つっちー

よし、簡単な事例から、式を変形して行こう。計算を簡単にするために2月のAさんの週平均の労働時間を計算してみよう。うるう年でない2月ね。

2月のAさんの総労働時間200時間でした。週平均の労働時間は、何時間でしょうか。(うるう年ではない。)
いろは
いろは

週平均の労働時間でしょ?うるう年でない2月は28日だから、つまり月にぴったり4週間あるわ。だから、200時間÷4週間で50時間。週平均の労働時間は、50時間ね。

200時間÷4週間=50時間
つっちー
つっちー

そうそう、正解。今、話したところだけど、1週間は7日だから、式を置き換えるよ。ここまでOK?

200時間÷28日/7日=50時間
いろは
いろは

え、えぇ。まだ、大丈夫だわ。

つっちー
つっちー

次に対象期間(1月)内で平均を取った場合に1週間で40時間を超えないような総時間が知りたいから、総時間をXと置こう。次の式になるよね。

X時間÷28日/7日=40時間
 この式をXについて解くと
X時間×7日/28日=40時間
X時間=40時間×28日/7日
 となる。
いろは
いろは

「法定労働時間の総枠」と同じ形の式になったわ。

X時間=160時間
つっちー
つっちー

この月の場合は、160時間までであれば、所定労働時間を変形して作成することができる。28日は2月の暦日数だから、たとえば31日まである8月では、式を次のようにすればいい。

法定労働時間の総枠=40時間×31日/7日
 ≒177.1時間
いろは
いろは

なんとなくわかった気がするわ。

「法定労働時間の総枠」を超える場合以外にも時間外労働手当が発生する場合もあります

所定労働時間は、就業規則その他これに準ずるものにより決める必要がありますが、この定めた日が8時間を超える場合は、その時間(例えば1日9時間)を、それ以外の日は8時間を超えた場合は、「法定労働時間の総枠」に達していなくても、時間外労働手当が発生するので、注意が必要です。1週40時間の場合も同様です。

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