これから農業簿記を初めて勉強される方にご参考になればと思います。
農業簿記3級と日商簿記3級の難易度や学習方法の違いなどをまとめてみました。
それでは行ってみよう!
農業簿記について
農業簿記検定は、日本ビジネス技能検定協会が主催している農業経営に必要な簿記の技能検定です。
日商簿記検定や全経簿記能力検定と比べるとマイナーな簿記検定の部類に入ると思いますが、おそらく農業経営に特化した唯一の簿記検定と言えるでしょう。
受験者層は、農業者やその経理担当、農業団体の職員、農業高校などの学生など、農業経営にかかる多くの人が受験されているように思われます。
農業法人などで働く従業員の経営者へのキャリアパスとしても取得することもおすすめです。
まずは、農業簿記3級を取得しましょう。
(あとでまとめますが、日商簿記2級を取得済みであれば、農業簿記2級からでもOKです)
実施科目など
農業簿記3級は、財務会計から出題されます。
(原価会計は2級から、管理会計は1級からとなります)
以下の表にまとめてみました。
農業簿記3級 | 日商簿記3級 | |
設問数 | 25問 | 商業簿記3問 |
合格基準 | 70%以上 | 70%以上 |
出題形式 | 5肢択一のマークシート (文章問題と計算問題) | 記述式 (ネット受験は選択式含む) |
解答時間 | 90分(10:00~11:30) | 60分 |
検定料 | 1,980円(税込) | 2,850円(税込) |
試験日 | 7月、11月 | 6月、11月、2月 ネット受験は随時 |
ネット受験 | 不可 | 可 |
出題範囲や直近の問題は、日本ビジネス技能検定協会のホームページで見れます。
申し込みも同ホームページからWeb申込で行います。
合格率の推移
試験結果も同ホームページで公開されています。
3級の合格率は、5〜7割で推移しています。
合格率は、高いように見えますが、3人のうち1人は落ちていますので、しっかりした対策が必要です。
実施月 | 級 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
13回 | 2020年7月 | 1級 | 62 | 24 | 38.7 |
″ | ″ | 2級 | 235 | 88 | 37.4 |
″ | ″ | 3級 | 658 | 440 | 66.9 |
14回 | 2020年11月 | 1級 | 91 | 22 | 24.2 |
″ | ″ | 2級 | 359 | 159 | 44.3 |
″ | ″ | 3級 | 1,046 | 640 | 61.2 |
15回 | 2021年7月 | 1級 | 84 | 27 | 32.1 |
″ | ″ | 2級 | 340 | 147 | 43.2 |
″ | ″ | 3級 | 882 | 621 | 70.4 |
〜 | |||||
19回 | 2023年7月 | 1級 | 78 | 27 | 34.6 |
″ | ″ | 2級 | 303 | 82 | 27.1 |
″ | ″ | 3級 | 796 | 436 | 54.8 |
20回 | 2023年11月 | 1級 | 91 | 38 | 54.8 |
″ | ″ | 2級 | 371 | 169 | 45.6 |
″ | ″ | 3級 | 893 | 554 | 62.0 |
日商簿記3級との難易度の違い
ズバリ、農業簿記3級は、日商簿記3級と比べて、易しいといえるでしょう。
なぜなら、農業簿記3級は、テキストを読んで問題集を一通り学習すれば、日商簿記と比べ、ひねった問題が出ないため、素直に解答することが可能であるためです。
特に、日商簿記3級を持っている人であれば、農業簿記特有の論点をマスターすれば、1〜2週間で合格可能です。農業簿記固有論点は、最後にまとめてありますので、特徴をつかんでください。
日商簿記と農業簿記の難易度は、こんな感じです
易 ← 農業簿記3級 ー 日商簿記3級 ー 農業簿記2級 ー 日商簿記2級 → 難
農業簿記3級と日商簿記3級の試験対策上の違い
しかし、簿記初学者でも楽勝に農業簿記3級を取得できるのかは、また少し話が違います。
それは、学習のしにくさにあります。
日商簿記3級は、市販のテキストがとても多く、自分にあったテキストを書店で選ぶことが可能ですが、一方、農業簿記3級は、唯一、大原出版(資格の大原)から出ている「農業簿記検定教科書3級」と「農業簿記検定問題集3級」、「農業簿記3級過去問集」で学習を進めるしかないためです。
農業簿記検定教科書3級第2版 [ 全国農業経営コンサルタント協会 ] 価格:1100円 |
農業簿記検定問題集3級第2版 [ 全国農業経営コンサルタント協会 ] 価格:660円 |
このテキストは、体系的でよくできていると思いますが、「ザ・教科書」感が否めないため、簿記初学者には、少しとっつくにくいかと思います。
そこで、自分の気に入った日商簿記3級の市販テキストと並行して学習を進めるとよりわかりやすいかと思います。(ついでに日商簿記3級とダブル取得しちゃいましょう。)
なお、資格の大原で、2ヶ月(全6回)のDVD通信講座が用意されていますので、テキストを買ったけど、独学無理だぁ〜の人は、受講してみても良いかと思います。
教科書問題集付きは、8,100円、なしは、6,500円から受講可能です。
農業簿記固有論点
最後に、日商簿記3級取得者向けの農業簿記固有論点について、私が、受験した当時のメモ書きからピックアップしたので、参考にしてください。
- 家事消費取引は、資本金/売上高で処理する
- 未収穫農作物や肥育に要した費用は、「仕掛品」勘定で処理する
(日商簿記3級では仕掛品勘定が出てこないので追加で覚えよう) - 期中にかかった肥料費や飼料費は、「育成仮勘定」で処理する
(同じく農業簿記固有論点です。「育成費振替高」とセットで覚える。流れをつかめば難しくないが、最悪、仕分けを覚えちゃえばOK) - 生物の売却
(通常の固定資産と異なり、生物売却収入と生物売却原価で分けて仕分けします。) - 収益の計上基準(収穫基準・・・収穫した年に収益計上)
日商簿記3級をお持ちの方は、テキストで、上記論点だけでもしっかり抑えて、問題集を一通り回せば、合格できますのでぜひぜひ挑戦してみましょう。
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