無期転換ルールとは?条件や注意点を調べてみました

労働法

同一の使用者との間で、有期労働契約の更新の際に、労働者からの申込みにより、無期労働契約に転換できる「無期転換制度」という制度があります。

令和6年4月から施行される労働基準法施行規則も調べてみました。

この制度はもともと、最高裁判例で確立された有期労働契約の雇止め法理を労働契約法第18条に明文化したものです。

契約社員やパートなどの有期契約労働者が無期転換を申し込む場合のルールや使用者側の注意点などまとめてみました。

それでは、行ってみよう!

無期転換制度

有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間満了をもって雇用が終了します。

しかしながら、有期労働契約を反復更新して無期労働契約と実質的に異らない状態が続いている時は、有期労働契約が更新されたものとみなされる雇止め法理)ことが判例で認められていました。

そこで、労働契約法の法改正により一定期間を超えて有期労働契約が行われた場合は、労働者に無期労働契約への申し込みができるようにして、使用者は、これを拒否できないように規定されました。

申し出ができるようになるまでの期間

有期労働契約が1年の場合は、5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。

すでに5年以上、有期労働契約を更新している方は、すでに申込権を得ていることとなります。

使用者は、申し込みを断ることができず、不当に雇い止めをすることはできません。ただし、罰則規定があるわけではなく、法の趣旨に反するという意味です。

正社員と無期転換社員の関係

勘違いをしている方がたまにいますが、無期転換した従業員は、(就業規則等で別段の定めがある場合を除き)有期契約時の労働条件のまま契約期間が無期となることを定めている者であり、いわゆる世間でいう正社員化するわけではありません。

つまり、無期転換後の雇用形態は、給与、待遇などの労働条件は、原則として有期契約時点と同一のものとなります。

このことに関しては、厚生労働省のホームページでも、

これまでは、一般的に「正社員」とは、無期契約労働者を指すことが多く見られました。有期社員が無期転換した場合、転換後の雇用区分に応じ、従来の「正社員」と役割や責任を明確にしておかないと、トラブルが発生するおそれがあります。

厚生労働省:有期契約労働者の無期転換ポータルサイト

と述べられており、就業規則の見直し等の対応を事業者に勧めています。

就業規則の見直し

無期転換した従業員の仕事の内容を明確化するため、就業規則の見直しを勧めています。

すでに対応済みの企業もある一方で、未対応の企業も多いのではないでしょうか。対応が不十分だと、前述のように労働条件もいわゆる正社員と同じになるなどと、誤解を生むことも考えられます。

今までの、無期労働契約者(いわゆる従来の「正社員」)と有期労働契約者(いわゆる従来の「契約社員」や「パート」など)だけではなく、「無期転換社員」の雇用形態・労働条件、期待される役割などを明確にしておく必要があります。

さらに、有期労働契約者や無期転換社員の正社員化の転換の条件やルートを明示することで、従業員が会社への帰属意識を醸成しながら、キャリアアップを図ることができるように就業規則に盛り込んでいくことが重要です。

就業規則の改正案については、「厚生労働省:有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」に業種別のテンプレートが載せてありますので、参考にしてください。

また、就業規則の専門家は、社会保険労務士です。不安な方はプロに相談してみてはいかがでしょうか。

無期転換ルールの特例

有期雇用特別措置法に定めのある高度専門職(医師や弁護士など)や定年後引き続き雇用される有期労働者を雇用する事業主が、適切な雇用管理に関する計画書を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた場合は、無期転換申込権は発生しないこととなっています。

令和6年4月法改正内容

労働基準法施行規則の改正により、無期転換ルールの一部見直しが実施されます。

改正後は、有期契約労働者を雇用する場合、有期契約を更新する「更新上限」(通算有期労働契約期間や更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要とります。

労働条件通知書の様式を変更する必要があります。

また、改正後は、雇用主は、無期転換申込権が発生する更新のタイミングごとに無期転換の申し込みができる旨の明示が必要となります。また、この際に、無期転換後の労働条件の提示が義務付けられます。

まとめ

いかがだったでしょうか。今日は、無期労働契約の転換についてまとめてみました。

有期労働契約で不安定な立場で就業している方が、少しでも安定した労働環境で就業することで、仕事の効率や会社への帰属意識が高まることを期待したいです。

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